いいうんち、悪いウンチを見分けるときに注目すべきは、【色・形・硬さ・臭い】の4点です。
うんちの回数は、その子の食べる量にもよりますが、ワンちゃんもネコちゃんも1日1〜3回が正常範囲。手作りのごはんを与えている子は、ドライフードの子に比べてうんちの量が増える傾向があるようですが、いずれにしても、急に回数が増えたり減ったりするようなことがあれば、何かのトラブルを知らせるサインと考えて、慎重に経過を見守りましょう。
【色】
茶色・・・
望ましい状態です。
薄い茶色・・・
食事内容にもよりますが、消化不良を起こしている場合があります。
黒っぽい・・・
消化管の上部、胃や小腸からの出血が疑われます。黒い便が続くときは、胃や小腸の腫瘍の可能性も考えられます。
【形】
健康なときは、適度な水分を含んでツヤがあり、コロンとまとまっています。
心配なのは、過度に油のようなテカリがある状態が続くとき。膵臓などの働きに問題が生じているかもしれません。また、高齢の子で細いうんちが断続的に出るようなことがあれば、ポリープや前立腺の病気が疑われます。
【硬さ】
ティッシュで簡単につかめる程度の硬さが理想。処理をする際に、手でつかんでも形が崩れず、地面にもほとんど汚れがつかない状態がよいとされます。
【臭い】
悪いものを食べたときには、腐臭をすることが多いです。臭いが明らかにいつもと違う場合には、食材による影響の他、病気などの異常も考えられます。
病院に行くべき、気になるうんちの状態とは?
人間同様に、犬や猫のうんちは、ときに隠された病気を知らせるサインになります。普段から気をつけて見てあげている飼い主さんは多いと思いますが、ポイントとなるのは【便の状態+その子の全身状態】です。
犬や猫は、腸の粘膜が人間よりも傷つきやすいため、普通の下痢のときでも、鮮血混じりのうんちが出ることがあります。それが続く場合はよくないですが、水下痢に血が混じるような場合
反対に、慢性的にゆるいうんちが続く程度だけれど、なんとなく元気がないという場合には、何か隠れた病気のサインかもしれません。
他にも、下痢や便秘に吐き気や皮膚のかゆみを伴う、3日ほど便が出ないと思っていたら吐き気も出てきたなど、気になるうんちの状態にその他の症状が付随している場合には、早めの受診をおすすめします。
また、病気以外の下痢+吐き気の原因としてよくあるのが、天ぷらの盗み食いです。ゴミ漁りの後に症状が出た場合には、そのゴミの中に天ぷらなど脂っこいものがなかったか、落ち着いて思い出してみましょう。
天ぷらと同様に、殺虫剤や除草剤を撒いたあとの庭で遊んだあとに下痢になった、あるいは、下痢や便秘になったのと時期を同じくしていつも遊んでいるおもちゃが見当たらないなど、きっかけが明確な場合には、迷わず受診をしましょう。
最後に、下痢自体が重篤なものではなくても、下痢で部屋を汚してしまったり、夜中に外に連れ出さなくてはいけなかったりと、うんちのトラブルは動物と飼い主さんのQOLを損ねがちです。また、病気は一般的に悪くなっている期間の倍、治療に時間を要すると言われていますので、飼い主さんの不安を取り除くためにも、あまり放置せずに獣医師に相談していただくのがいいのではないかと思います。
こんなにある! 腸の役割
腸の健康を保つことには、多くのメリットがあります。
腸は体内にある器官でありながら、皮膚と同じように外界とも直接接しています。そのため、体にウイルスなどの悪いものが侵入しようとしたとき、それを真っ先に検知し、感染症を防ぐ役割があります。
同様に、腸が健康であるときは、有毒物質を体内に入れない、もし入ったとしてもすぐに免疫系を働かせて解毒させる、といった働きをします。この腸の解毒作用によって体や血液が浄化されることで、たとえば、皮膚が健康になったり、毛ヅヤが良くなったりなど、腸以外の部分でもいいことが起こるという点も見逃せません。
さらに腸では、見た目や体の若々しさに関係するといわれる、酵素、ビタミン、ホルモン、抗酸化成分などを腸内細菌と協力して作り出しています。腸内を健康に保つことは、流行りの酵素剤を飲むことや、アンチエイジングにいそしむのと同じくらい、いい効果が期待できるのです。
最近では、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎など、ワンちゃんのアレルギーも注目されていますが、アレルギーは免疫力の低下に抵抗力が弱ると、発症しやすくなってしまいます。そしてこの免疫力に深く関わっているのも、やはり、腸なのです。
腸は体の免疫の70%に関与するというデータもあり、アレルギーの軽減にも役立つという報告もあります。
腸内環境を整えることで、腸内細菌から短鎖脂肪酸が作り出されることによって腸が活性化します。その結果、腸の運動が活発になり、便秘の改善にも役立ちます。
大切な愛犬、愛猫のために、健康な腸を保つ「腸活」を意識しながら、毎日を過ごしましょう。
監修者:厚木キジュ動物病院 / 難波勝則 院長