犬も猫も人間も、同じ生き物として考えましょう

2020/07/16 公開

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犬も猫も人間も、同じ生き物として考えましょう

犬は、こういう動物。猫は、こういう動物。と特別な生き物のように考えてしまうと、本当のことがわからなくなってしまいます。私たち人間と同じ生き物なんだという視点で観察してみたら、そのコの体質や、その日の健康状態が、よくわかるようになります。

 

動物病院へ連れて来られる犬や猫たちには、症状がかなり進行している場合が少なくありません。他の動物病院の先生方と話していても、「手遅れになる前に、もう少し早く来てほしい」という声がたくさん聞かれます。もう静かに見守るしかないとか、今の苦痛を緩和してあげることしかできないのは、獣医として本当に悔しい。

 

では、どうして手遅れのようなことになってしまうのかを考えたときに、私は飼い主さん自身がご自分の健康についてどう考えているかということが大きく関わっていると思います。ご自分の体や健康に関心がないのに、ペットの健康のことなど考えられませんからね。

ご自身が健康に気をつかっているなら、次には犬や猫も私たち人間と同じ生き物だということを理解して接することが大事です。実際にあった事例ですが、元気のない老犬が連れて来られて、いろいろお話を聞いてみると2週間も食事を摂っていないことがわかりました。食欲がないのを歳をとったからと思われたのでしょうが、2週間も食べないなんて人間なら考えられないはずです。

 

もうひとつ事例をあげると、下痢がおさまらなくて連れて来られた小型犬。慢性的に冷えを抱えている様子で、その原因が外来的なものであると診断しました。そしてよく話を聞いてみると、何も変なものを食べさせた覚えはない。ただ、朝昼晩と1日3回、1個ずつイチゴをあげていることがわかりました。

 

体重5kgほどの小型犬ですから、50kgの人間に換算したら毎日30個のイチゴを食べ続けていたことになります。お腹が冷えて当然ですね。3個じゃ別に多いとは感じないかもしれませんけれど、30個じゃ多すぎることは誰にだってわかります。同じ動物として考えれば、そういうことに気づけるわけです。

 

犬だから、猫だからではなく、私たち人間と同じ生き物としてペットのことを考えれば、どんなことがよくてどんなことが悪いのか想像できると思います。そのうえで、食欲はあるか、おしっこの色や便の状態は?と観察する。体のあちこちを触ってみて、痛がらないか、体に力があるか確かめる。そうすることが、そのコの体質やその日の体調を知ることにつながります。

そして、今日はいつもとちょっと違うということがあったら、その時点で相談に来ていただきたい。西洋医学では、病気だと判明してから治療するのが基本ですので、たとえば血液検査をして異常が見つからなかったら、何も施しようがありません。しかし中医学では、まだ病気とはいえない体の不調にも対処することができます。そうすれば病気になる前に防ぐことができますし、ましてや手遅れになることなど絶対にあり得ません。

 

私は中医学の難しい話はしません。ただひとつ、飼い主さんには観察力と想像力を持っていただきたいと思っています。犬や猫も人と同じ生き物であるという前提のもと、一番そばにいる飼い主さんが愛犬・愛猫のことを毎日よく観察して、このコの体は今どういう状態なのかということを想像するのです。そこで何か気づくことがあれば、それは獣医にとって、とても重要な情報となります。

犬や猫も、気管が弱い、胃腸が弱い、冷え性、アレルギーなど人間と同じように体質があります。そして中医学には、病気に対する薬ではなく、体調や体質の改善を目的としたサプリなどもあります。これらをペットに与えることは、その効用とはまた別の効果が実は生まれています。

 

それは、愛犬・愛猫に対する観察力がより鋭くなっていくこと。もし毎日2回、愛犬・愛猫の健康を思って何かを与えるとしたら、その時には気持ちの100%が愛犬・愛猫に向いているでしょうから、集中して観察することができるのです。犬や猫の健康長寿は、飼い主さんの意識にかかっている。そのことを、どうか忘れないでいてください。

 

あおぞら動物医院 佐藤希樹(聞き手:編集部)

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