これまでに獣医療者としてたくさんの最期を見守り、見送ってきましたが、愛犬、愛猫に対する死生観は本当にさまざまです。
「痛みや苦しみを取るために、注射や点滴なども積極的に行いたい」
「通院自体がストレスになるから、自宅療養をメインにしたい」
「いずれくるべきものだから、自然に任せたい」
獣医療者としては、どこまでの治療を望まれるのかなど飼い主様のご意向に耳を傾け、治療法とその治療によって期待できる効果などをご説明しながら、いくつかのプランをご提案することになります。
最初は寿命が近づいていることを受け入れられない飼い主様も多いですが、家での様子を見守るうちに、やはり命の終わりは近いのだということを理解され、そこから治療のプランを変更されるケースもあります。
いずれにしても、私たち獣医療者は飼い主様の気持ちに寄り添うことをベストだと考
自宅で看取る? 病院で看取る?
人間であれ、動物であれ、必ず最期を迎えます。できることなら苦しまず、慣れ親しんだ場所で最期を迎えさせてあげたい。そう考える方も多いと思います。一方で、冷静に対処できる自信がないので入院をさせてほしいとおっしゃる方も少なくありません。
これという正解はなく、飼い主様ご家族の間でさえ、どのような最期を迎えさせてあげたいかについて意見の相違をみることも多く、命の終わりが間近に迫ってきてはじめて、最期について考え、深く悩まれる姿にたくさん接してきました。
だからこそ、できることならば、飼い主さんの気持ちにゆとりがあるうちに、最期をどう見送りたいかを考える、いわゆる終活をしておくことも大切だと考えます。
縁起でもないと思う方もいらっしゃるかもしれません。けれど、終活はペットと飼い主様、双方がよりよい旅立ちの瞬間を迎えるためのポジティブな行動だといえると思います。
以下に、ペットのためのエンディングノートを作成しました。この記事に目を通していただいたのをきっかけに、時間と心の余裕があるうちに、自分たちにとって幸せな看取りは何か、考える時間を持ってみてはいかがでしょうか。
監修者:ますだ動物クリニック / 増田国充 院長