愛犬・愛猫のその不調、お天気のせいかもしれません

2024/03/19 公開

  • 特集
  • 老犬&老猫を知ろう
  • ペットの漢方(中医学)

愛犬・愛猫のその不調、お天気のせいかもしれません

「どんより曇り空の日は、古傷が痛む」、「台風が近づくと、決まって頭が痛くなる」、「季節の変わり目はアレルギー症状が出やすくて困る」。あなたにも、思い当たる節はありませんか?
実は、気温、気圧、湿度など、気象の変化によって引き起こされる不調は「気象病」や「天気病」と呼ばれ、近年、注目を集めています。
ワンちゃんやネコちゃんの不調でよくみられる、下痢や吐き気、皮膚の病も、お天気と深く関わっている可能性があります。もし、ワンちゃんネコちゃんの不調の原因が気象にあるとしたら、季節の変化や日々のお天気に意識を向けることで、不調に陥る前に手当てをしてあげられるようになるかもしれませんね。

まずは、気象病について知りましょう

東洋医学では昔から、春一番など強い風が吹き、寒暖差の激しい春は「肝」がダメージを受けやすく、血液循環や自律神経にかかわる不調が出やすい──といったように、季節や気候によって体調も変化すると考えられてきました。ですから、東洋医学の知識を持つ獣医さんの多くが、その日のお天気を意識しながら診察にあたります。

 

するとやはり、急に寒くなると下痢の子が増えたり、台風の時期には神経疾患で受診する子が多いなど、天候による傾向がみえてくるといいます。

 

特に気をつけたいのは、雨の日の前後、季節の変わり目、寒暖差の激しいとき。こういった気象条件のときには、受診する子が増えるのだそうです。

 

すぐ実行できる気象病対策とは?

東洋医学には「養生」という考え方があります。養生とは、病気にならない体をつくるための心がけで、その基本のひとつに食があり「食養生」とも呼ばれます。

 

一昔前は、栄養バランスに優れたドッグフードだけを与えるのがベストという風潮があり、今でもそのように考える獣医さんもいます。

 

しかし、人間が同じものばかり食べていたら健康を保てないのと同様に、ワンちゃんネコちゃんもバランスを考えながら、毎日の食餌をアレンジしてあげましょう。

 

難しく考えることはありません。旬の食材は、その季節に体が必要とする栄養素を豊富に含んだ“天然のサプリメント”です。自分たちの食事の準備をするときに少し取り分けて、ワンちゃんネコちゃんの食餌に少し加えてあげるだけでもいいのです。

 

もちろん、アレルギーのある食材は与えないようにし、香辛料やスパイスなどは使用しません。最近では、ワンちゃんネコちゃん向けのレシピ本も増えてきているので、参考にするのもいいでしょう。

 

<季節の代表的な食材と効果>


山菜、アスパラ、春にんじんなどの緑黄色野菜で気の流れを促して血流UP。ストレスや環境変化に強い体づくりをしていきましょう。


夏野菜で水はけをよくし、体内にこもりがちな熱を冷ましましょう。肉類では、馬肉に体を冷やす作用があるとされています。


肺にダメージが出やすい季節は、れんこん、りんごが特におすすめです。体を冷やさないよう温かくして食べ、寒い冬に備えて栄養を補いましょう。


根菜類や生姜で体を温めて、冷えや風邪から体を守りましょう。肉類では、鹿肉や牛肉に体を温める作用があるとされています。

 

うちの子は気象病? どうすればわかる?

大前提として、人間が体調を崩しやすい時期は、ワンちゃんネコちゃんも不調になることが多いので、いつもより体調の変化に気を配ってあげることが大切です。

 

暑さ、寒さ、寒暖差に弱い子、気圧の変化に敏感な子、いろんなタイプの子がいます。うちの子のウイークポイントは何かを知るためには、メモが役立ちます。

たとえば、下痢、嘔吐、食欲減退など体調を崩したとき、まずは、前日や前々日に来客があったり、遠出をしたりなど、何かイベントや環境変化によるストレスを受けていないかを考えます。次に、天気についても考えるのをクセにしていきましょう。急に気温が下がった、朝晩の気温差が10度以上あった、グズついた天気だった、ゲリラ豪雨があった、雪が降ったなど、気になる気象条件をメモしておきます。

 

数カ月続けるだけでもだいぶ傾向が見えてくると思いますし、春夏秋冬、季節を一巡すると、どの季節に特に注意が必要かなどの対策もみえてくることでしょう。

 

監修:厚木キジュ動物病院 難波勝則院長

 

この記事のPDFファイルはこちら