寝たきりを防ぐ中医学ケア

2026/02/28 公開

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寝たきりを防ぐ中医学ケア

人も動物も、高齢になるにつれ感じる様々なトラブル、老化現象。
この老化現象のうち、多くの動物を悩ませるのが運動機能の低下です。

「歳だから、もう昔のように走れないね、しょうがないよね、歳だから」と諦めていませんか?

ちょっと待ってください!

その運動機能低下、止めるなら「今」なんです!

老化による運動機能低下、その正体

老化による運動機能の低下、その正体はサルコペニアという疾患です。

サルコペニアとは、加齢やその他の原因により、筋肉量が減少・薄くなっていく病態を指します。
人医療では2016年に国際疾患分類に疾患として登録されており、明確に定義されています。

この疾患を早期に診断し、筋肉量を維持するための取り組みとして「栄養改善」「リハビリテー
ション」などが積極的に行われます。
しかし犬猫では、残念ながらこれらの現象を「しょうがない」「自然なこと」として受け止めら
れ、本当に歩けなくなってから、「歩けるように戻してあげたい」と病院を受診するケースが多い
のが現状です。

「歩けない」は手遅れ

ここで、とても残酷なことを申し上げなければなりません。実は、「歩けない」となってからではもう遅いのです。

動物が歩けなくなる時、それはすでに体重を支え、前に進むために必要なだけの筋肉が残っていないことを示します。

だからこそ早期に気づきたい筋力の衰え

筋力が衰え、動物が歩けなくなるまでには長い時間を要します。筋力はいきなりなくなるわけでなく、徐々に衰えるのです。そのため、どれだけ早く気づいてあげられるか、対策していくかが鍵となります。

しかし動物は痛みや問題を隠すのがとても上手です。実際には関節痛が潜んでいたとしても、わずかな変化があるのみで、レントゲンや身体検査を行なっても、明確な診断がつきにくいという問題もあります。明らかな症状が現れた場合にはすでに症状がかなり進行している。ということも珍しくないのです。

【早い段階で気づくポイント】

なるべく早く気づくためには、体を良く観察し、触ることが大事です。 

o筋量の低下や体の歪みに気づくための見方と触り方
①座っている姿勢を正面から見る
座っている様子を真正面から見た時に左右対称か
②立っている姿を上から見る
真上から見た時、4つの足の位置は左右対称の
四角形になっているか
③歩く姿を見る
片方に寄っていかないか、びっこを引いていないか
④足の太さを触って比べる
両手の親指と人差し指でリングを作り、
左右の太ももを掴んだ時重なり方や離れ方を比べる

これらを1歳を過ぎた頃から習慣的に行なっていくことで、変化に気づける可能性が高まります。
正確に行うためには、


・写真を毎回決まった形で撮ること ・客観的な数値(足の太さ)を記録すること

が大事です。

また、プロの目を借りる=整体や動物病院で定期的なチェックを受けることも行なっていくことも有効です。

東洋医学の力で衰えない体づくり

人では筋力の低下は30代から始まっていると言われており、これは犬猫で当てはめると、なんと3~4歳という、常識的には「若い」と言われている時期になります。サルコペニアにならない体づくりのためには、このくらいの早期、あるいはもっと早くから、対策を行いましょう

東洋医学的なケアのポイント

・生活習慣を整える

健康に見えていても、体には普段から疲労やストレスが蓄積しています。
若い時でも、疲労やストレスが溜まらないように健康な食生活と適度な運動習慣を身につけましょう。

<食習慣についてのアドバイス>

普段はペットフードを食べているという場合でも、体質に合わせた食材をトッピングとして利用することで、食材本来の栄養や価値を得ることができます。完全な手作りは難しくとも、若い頃から色々なレシピを学んでおくことは老後に向けた良い準備となるでしょう。

<適度な運動>

小型犬であっても、運動を全くしないということはお勧めしません。筋肉を維持するためには適度な運動習慣をつけましょう。人では週に2~3回のじんわり汗をかく程度の運動が良いと言われます。犬猫は汗をかかないため、軽く息が上がる程度の散歩を定期的に行うと思っていただくと良いと思います。
どのくらいの距離で息が上がるか、ということを知ることも、運動能力や心肺機能の目安になりますので記録をつけることもお勧めします。

・漢方や生薬での未病対策

そして、体へかかりやすいストレスや現れやすい不調は、体質や正気の状態、季節や風土、生活環境により異なります。
病気と健康の間にある、様々な不調を未病と呼びます。
この未病には、漢方薬や薬膳などの知恵を借り、対処していく事ができます。ご自宅で気付けない不調や問題を認識できる中医学は、健康維持の強い味方となります。

・蓄積された疲労の解消や体力の回復:鍼灸治療

また、からだの歪みや疲労には、鍼灸治療が有効です。体に蓄積した邪を取り除き、不足している正気を補うことで体を中庸(バランスの取れた健康な状態)に保ちます。
バランスが大きく崩れると回復が難しいため、早期から定期的な施術を受ける事をお勧めします。

まとめ

高齢者の筋力低下の正体は「サルコペニア」という疾患。早期から食生活・運動習慣を見直し中
医学を取り入れることで寝たきりを防ぎましょう!

監修者:森のいぬねこ病院 芋沢院 / 榎原陸 先生 

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