「こんなに腰が丸かったかしら?」「もしかして骨が折れている?」「腰が痛かったりするのかしら?」
人と同じように、ワンちゃんも加齢と共に腰が丸くなってきます。
老犬の腰の曲がりと「腎(じん)」の衰え

中医学では、腎は生命活動の根源となる「精(せい)」を蓄え、骨や髄(ずい)、腰をつかさどる重要な臓器と考えられています。
老犬の場合、加齢によってこの腎の精が次第に不足し、「腎虚(じんきょ)」という状態になります。腎虚は、足腰の衰え、震え、腎臓の数値の上昇といった症状として現れることがあります。これは、現代医学でいう「加齢による骨や関節の変形(変形性脊椎症や関節炎など)や筋力低下」と密接に関連しています。
腎の機能が低下すると、骨や関節への栄養が不足し、腰が弱くなり、支えきれなくなることで背骨が曲がる原因のひとつとなるのです。
気血(きけつ)の滞りと腰の不調
老犬の腰の曲がりは、中医学的に「気(き)」と「血(けつ)」の巡りの滞りとも関連しています。
気滞(きたい)
気の流れが滞ってしまうことを言います。
気は常に全身を巡り、体中にエネルギーや栄養を運んでいます。
気の流れが停滞すると、エネルギーや栄養の不足、痛みやこわばりを引き起こします。老犬では活動量が減
ることで気の巡りが滞りやすくなります。
瘀血(おけつ)
血液がドロッとして流れにくくなっている状態をイメージするとよいでしょう。
血の巡りが悪くなると、慢性的な痛みやしびれが生じます。特に背骨の周りの筋肉や靭帯、腱の柔軟性が失われ、血行が悪くなることで、腰の痛みや不快感が増し、結果的に腰が曲がる姿勢になることがあります。
冷えと湿気の影響
中医学では、外部からの「邪(じゃ)」である「寒邪(かんじゃ)」や「湿邪(しつじゃ)」も老犬の腰の不調に影響すると考えられています。特に新陳代謝が低下した老犬は冷えに弱く、下半身の冷えが腰の痛みを悪化させる可能性があります。
冷えは気血の滞りを招き、湿気は体の重だるさや関節の不調を引き起こすことがあります。
中医学的なケアと対策

老犬の腰の曲がりに対する中医学的なケアは、単なる症状の緩和だけでなく、体全体のバランスを整えることを目指します。
腰の曲がりは腎と関係が深いため、補腎(ほじん) をしてあげましょう。
腎の精を補うことを補腎といい、骨や関節の健康をサポートします。
温める
腰周りを温めることで気血の巡りを改善し、痛みを和らげます。腰回りには腎兪(じんゆ)や命門(めいもん)という、腎を強くするツボが存在します。また、解剖学的にもちょうど腰の辺りに腎臓が位置しています。
人間用の腹巻などを用いて、犬の腰を温めるたり、使い捨てカイロで犬の腰を温めるのも効果的です。
カイロを使う際にはタオルを巻くなどして低温やけどに注意が必要です。
マッサージ
背中やお尻、太ももなどを温めてからマッサージを行うと、血行が促進され、腰の負担が軽減されることが
あります。筋膜リリースも、腰や背中の負担を軽くするのに有効です。鍼治療などの施術も効果的です。
運動療法
犬用のプラットフォーム(トレーニング器具)などを利用した運動療法は、後ろ足の筋肉を鍛え、お尻の位置を上げやすくすることで、背中や腰の曲がりを軽減する効果が期待できます。
これは、足腰の筋力低下に対する現代医学的なリハビリテーションと共通する考え方です。
腎を強くする食べ物
大豆、玄米、栗、豚肉、鯛、椎茸、もやし、キャベツ、卵、などの食材は腎を強くする食材です。
また、中医学では黒い食べ物は腎に良いとされています。黒豆、黒米、黒きくらげ、ひじき、海苔、昆布などです。
これらの腎を強くする食材を、普段の食事にトッピングするのもよいでしょう。しっかり加熱し細かく刻んであげましょう。消化の状態を見ながら、ごく少量ずつにして下さい。
腎を補う漢方薬
体を温め、不足した腎精を補う漢方薬を服用するのもおすすめです。
自然由来の生薬で構成される漢方薬を用いることで、腎機能をより自然な形でサポートしてくれます。
獣医師に相談をして始めてみるとよいでしょう。
まとめ
老犬の腰の曲がりは、「腎」の衰えが大きく関係しています。「腎」は骨や足腰に関係が深いため、加齢による
腎精の不足は筋力や骨の弱化につながり、腰の曲がりを引き起こします。衰えた「腎」を補うための温活や血行を改善し筋肉のコリを和らげるマッサージ、運動療法が有効です。また、身体全体のバランスを整える鍼灸治療や漢方薬などの中医学的な治療も効果的です。
愛犬が背筋を伸ばしていつまでも若々しい姿で長生きできるよう、「腎」のサポートを頑張りましょう。

