人もそうだけれど、わんちゃん、猫ちゃんも、年齢とともに少しずつ腎臓の機能は落ちてきます。
検査でひっかかる前に、少しでも早く腎臓のケアをしていきたいですよね。
今回は、中医学の観点から、腎臓に負担がかかっている子へのケアについてお伝えしていきます。
腎について
中医学での「腎」とは、腎臓・泌尿器の機能だけではなくて、生命力・成長発育・生殖など、内分泌や生殖器の働きとも関わります。
腎の機能が衰えたり、力が足りなくなることを「腎虚 じんきょ」といいます。
腎虚になると、体にさまざまな不調が出てきます。
腎虚の症状とは・・・
たとえば、腎虚になると水分の排泄がうまく働かなくなるため、
・頻尿
・尿量の増加、減少
・からだがむくむ
など、泌尿器に関わる症状が出てきますし、体の生命力とも関わるために、
・白髪が増えた
・体がほてる、冷える
・足腰がだるい
・耳が遠くなる
・歯が抜ける
・認知症
など、いわゆる老化現象といわれるものも現れます。
もし上記の症状に当てはまるものが多ければ、もしかしたら腎が弱っているかもしれません。
おうちでできる腎のケア
腎の力は、持って生まれたもの(先天の精)と胃腸で作られるもの(後天の精)に分けられます。
年齢とともに腎の力は少しずつ衰えていきますが、腎の負担を減らしたり、後天の精を地道に補うことで、衰える速度をゆっくりとなだらかにすることが大切です。
どうやって腎の衰えをゆっくりにするのか、いくつかご紹介します。
マッサージをする
腎は水分の排泄をするところ。体に余分な水分が溜まっていると、腎はいつも頑張らなければいけなくなるため、消耗してしまいます。
日本は島国なので、湿気の影響を受け、体がむくんでいるわんちゃん・猫ちゃんはとても多いです。
マッサージをすることで水の循環が改善され、腎の働きをサポートすることができます。
腰の温灸をする
腰には「腎兪 じんゆ」「命門 めいもん」という、腎や生命力と関わるツボがあります。
腰のくびれ周辺を触ってみて、他の場所より冷えているようなら温灸で温めてあげましょう。
ただし、みんなに温灸がいいわけではなく、熱がこもりやすい体質の子(皮膚が赤い、目が充血している、温めると症状が悪くなる等)は控えるか、本人の様子を見て使ってあげてくださいね。
また、腹巻きをして冷やさないようにするのもおすすめです。
その際、腹巻きが大きすぎたり、布の素材が重いものだと、歩きにくくなったり腰に負担をかけることがあります。
歩きにくそうじゃないか、腹巻きをつけて腰が下がらないかどうかを見てあげてくださいね。
補腎の食材を取り入れる
薬膳の考え方で、腎を補う食材を食事に取り入れるのもおすすめです。
腎を補うものは、黒米、黒豆、黒キクラゲなどの黒い食材に多いです。
ほかには、豚肉、タイ、ブロッコリー、キャベツ、ヤマイモ、うずらの卵などがあります。
胃腸が弱りやすい子は、そもそも食べたものから腎の力を作れないことで、腎が弱っていることもあります。そういう場合は、消化しやすいように調理したり、1回量を少なくして胃腸の負担をとることもいっしょに行うといいですよ。
皮下点滴の注意点
腎臓の数値が高く、定期的に皮下点滴を行っている場合は、点滴の量に注意してください。
点滴の量が多すぎると、体がむくむ原因となり、水分の排出を行う腎への負担が余計に増えてしまいます。
・ベトベトの目ヤニが多い
・皮膚がぶよぶよで水っぽい
・透明の涙、鼻水がポタポタ流れる
というのが体がむくんでいるサインです。
水分といえど、量が多すぎると毒になることもあります。中には点滴後に体調が悪くなる子もいらっしゃいます。その場合は、点滴の量を主治医としっかり相談してくださいね。
また、体がカチカチに固いと、せっかく入った点滴が吸収されないこともあります。
皮下点滴の前後に体をマッサージすると水分の吸収が促されます。ぜひやってみてくださいね。
今回は、腎臓に負担がかかっている子へのケアについてお伝えしました。
早めに腎への負担に気づき、愛犬・愛猫のケアに取り入れていただけると幸いです。
監修者:むつあい動物病院 / 櫻井李奈 先生