愛犬の変化については多くの方が気づくものの、単なる老化のサインだろうと思って見逃してしまいがち。
「最近、足がふるえているのが気になります。歩くのは歩けるけど、いつも車にはジャンプして乗っていたのに、ためらうようになってきました」
治療のついでに「そういえば」という感じで、飼い主さんからこのような相談を受けることがよくあります。ソファにジャンプして上がれなくなった、散歩に行ってもすぐに帰りたがるなどの行動が見られたとき、加齢による足の衰えという側面ももちろんありますが、ダックスフンドやコーギーなどの犬種では特に、ヘルニアや関節炎、神経の痛みが原因ということも考えられます。
痛みが原因の場合にはワンちゃんたちもつらいですから、気になることがあれば次の治療の機会を待たず、クリニックに相談されるのがいいと思います。
毛ヅヤが悪くなったのは、体調が悪いせいかも!?
愛猫の場合にも同じようなことがあり、変化としては、「毛ヅヤが悪くなる・毛玉ができる・フケが多くなる」ということが挙げられます。
猫はとても清潔好きな生き物で、爪の手入れ(爪とぎ)や毛づくろい(グルーミング)は習慣として毎日します。毛ヅヤがいいときは、ちゃんとグルーミングができている証拠。反対に毛ヅヤが悪くなってきたときは、きちんとグルーミングできていない可能性が考えられます。同様に、グルーミングができないことによって、毛玉やフケの増加が起こります。
グルーミングをするためには、体を曲げたり、足を開いたり、人間から見るとかなり無理な体勢をこともなげに行なっているわけですが、体に痛みがあったり体調が悪いと体を曲げられず、グルーミングができなくなってしまいます。
体の一部に毛玉が目立つときは、その方向に体を曲げると痛いか、体調が悪いというサインと考えられるでしょう。
病気未満の体の痛みには漢方が有効
ワンちゃんでも猫ちゃんでも、体に痛みがあっても血液検査やレントゲン検査をして異常がなければ、西洋医学主体のクリニックでは「少し様子を見ましょう」といって、そのまま帰されてしまうことがほとんどでしょう。
でも、診断名はつかなくても何だか体調が悪そう、痛そうという、いわゆる未病の場合には、通常とは異なるという意味で、異常な状態にあるといえます。飼い主さんの心理として、それをただ見守るだけというのもつらいですし、痛みを感じているワンちゃん猫ちゃんはそれ以上につらいのです。
そんなときは、痛みを緩和させる漢方や、免疫力を高めたり血の巡りをよくさせて老化予防に役立つような漢方を飲むことで、体を正常な状態に戻すことができます。
痛み止めのようなお薬は一時的には使えますが、胃へのダメージを考えると長期的には服用できません。その点、漢方は日常的に服用することで、毎日を快適な方向へと導いてあげることができます。
飼い主さんはよく「年だから仕方ないですよね」と言いますが、老化のサインに早く気付き、
当院では20才以上の猫を含め、高齢の猫ちゃんがたくさんいますが、みんな毛ヅヤがよく、しっかり自分でグルーミングをしています。猫の20歳以上といえば、人間なら100歳!
ワンちゃんも猫ちゃんも長寿社会ですから、最後まで食べて歩いて寿命をまっとうさせてあげられるよう、予防することにも目を向けてみてほしいです。
監修者:ハートフル動物病院 時松和美先生