人を含め、犬や猫など哺乳類は恒温動物という体温が一定の動物です。
そのため、外気や外邪(外からくる病気の原因 例えば寒さや風、病原体など)に影響されやすく高齢では体力、抵抗力の低下によりその影響はさらに増します。
温泉浴は体を温める作用があり、体の内側へ温かさを浸透させ体温を保つため、ペットにも快適に感じる行為と推測されます。
ただし、水への恐怖心や元来温浴を生態学的に必要としてこなかった動物に関しては全ては当てはまらないかもしれません。
日本三名泉である、有馬温泉(兵庫)、草津温泉(群馬)、下呂温泉(岐阜)にもペットと宿泊可能な施設があります。
全国の各地にある温泉街にもペットが入れる温浴施設は増えているように感じます。
ぜひお近くの温泉で探してみてください。
温泉を含めた体を温める行為は新陳代謝を上げ、免疫力を高め、体の恒常性を正常に保つ中医学で言う【気】の力を高めます。
ペットも高齢になると、体の筋力や代謝が衰え【気】の生成が衰え、消耗されます。
それにより一般的に冷えや免疫力が落ち病気にかかりやすくなってきます。
温入浴には
・副交感神経の働きが優位によるリラックス効果
・新陳代謝が上がり血行の改善により疲労感減少
・有効成分を取り入れるスキンケア(温泉)
など衰えた【気】の力を向上させるさまざまなメリットがあります。
体の冷えが顕著な高齢動物にとっても比較的容易に受け入れられるでしょう。
ペットにお勧め温浴方法4選
① ペットが入れる湯治施設や温泉施設などに行く
体が動く子や体力に自信がある子であれば本格的な温泉の入浴がおすすめです。
温泉の有効成分を取り入れ、非日常空間でリフレッシュはいかがでしょうか。
最近は温泉で有名な街にはペットも入れる施設があるのが主流です。
② 家でのんびり温浴
体力が落ち、外出がむずかしいペットにはおうちでの入浴もおすすめ
スキンケアができる入浴剤や炭酸泉など体の汚れを落とす効果もあるので、ベビーバスなどで入浴させることもできます。どんな入浴剤が良いのか選択が難しい場合は獣医師やトリマーに相談してみましょう。
③ 足湯で温活
全身で入浴することが困難な場合は足湯もおすすめ
手足の冷えが顕著な場合、足湯はいかがでしょうか?
肉球を温めて揉みながら入浴すると、リンパ液の流れも良くなり浮腫改善、血行も良くなります。
④ お湯以外で温活
お湯に入ることが難しい場合、市販の小豆グッズやお灸などで体を温めることも可能です。
また、中医学診療を行なっている動物病院では血行や気の流れを改善する鍼治療やマッサージなども効果的。体の中から温める漢方、薬膳などもご相談できるかもしれません。
!温浴の注意点!
・無理に入浴をしない
嫌がっている場合は逆効果。無理は禁物です。ドライシャンプーで汚れをとる、部分入浴をするなど工夫してみてください。
・循環器疾患、疼痛疾患、感染瘡など疾患がある場合
無理な入浴はすすめません。徐々に慣らして興奮させないようにしてください。急性疾患や感染が疑われる場合は入浴は控えましょう。
・温泉の泉質に注意
おすすめは弱酸性〜中性の湯 皮膚に一番負担が少なく入浴できます。
温泉にはアルカリ性から酸性までさまざまな泉質があります。
酸性の温泉はさっぱりとした質感で「清涼の湯」などとも呼ばれます。
PHが低いため肌がピリピリとした感覚に感じることがあります。
アルカリ性の温泉はすべすべする質感で肌の汚れや角質を落として「美肌の湯」とも呼ばれます。PHが高いため肌がカサカサになる可能性があります。
硫黄泉や鉄の多い温泉、塩が強い温泉など嗅覚の効くペットには要注意の温泉もありますので、それぞれの温浴施設の禁忌事項などをよく確認ください。
監修者:越谷どうぶつ病院 / 岩岡佳織 先生