血(けつ)の働きと瘀血(おけつ)

この「気(き)」「血(けつ)」「津液(しんえき)」の中の「血」は私たちの血液と似た働きを持っていますが、中医学では血と気が互いに変化することがあったりそれぞれを補ったりすることができます。
からだの中で発生した老廃物をきちんと排泄させるようにする重要な機能ももっています。
健やかな心を育むことにも関わりがあります。
からだのなかに十分な血が必要であること、そしてスムーズに流れていくことで健康が保たれているのです。

この「血」の流れが妨げられてしまうことがあります。
これを「瘀血(おけつ)」と呼びます。
雑誌やSNSでドロドロ血と呼ばれたりもします。
水の流れているホースの一部をつまんだ状態を想像してみてください。ホースの中で水がパンパンに膨れ上がって硬くなったり、場合によってはホースが壊れたりしますね。このように血という栄養が流れない、また老廃物が取り除かれない原因を作ります。
水分の流れが悪くなる「痰湿」が転じて瘀血を起こす場合もあります。
瘀血の原因は?
血の流れは血そのものの問題だけでなく、密接な関係にある気や津液のバランスが乱れた場合にも影響が及びます。
また、「心(しん)」や「肝(かん)」といった血に大きく関連する臓腑に不調が出た場合にも瘀血を生じやすくなります。
暑さ寒さをはじめとした環境の要因や老化、ストレスなどのメンタルが瘀血に関連するもあります。つまり、からだのバランスが何らかの理由で乱れると、瘀血は発生することがあるということになるのです。
高齢になると瘀血になりやすく、これによって他の不調や病気を誘発することもあります。
瘀血ってどんな症状?
瘀血は血の流れが悪くなる状態ですので、血液や心臓への病気が多いと思われがちですが、からだのあらゆる場所に現われます。主な症状には以下のものがあります。

・痛み(刺すような強い痛みで場所は変化しない、夜悪化しやすい)

・腰や四肢の痛みやしびれ

・皮膚のシミや色素斑
・体表やからだの内部のできもの(腫瘍、いぼ、ポリープなど)
・血行不良や血色の悪化(青紫色、チアノーゼ)
このように一見瘀血とは関係なさそうな皮膚の色素沈着も、中医学では瘀血と判断されます。
いぼができやすい子も瘀血体質といえるのかもしれませんね。
瘀血にはどう対策するといいの?
血の流れを改善する方法を中医学では「活血化瘀(かっけつかお)」といいます。詰まりをとって栄養をバランスよく供給する方法です。
活血するはたらきのある中薬や食材を使った養生、また鍼灸や推拿(すいな:中国伝統医学の整体術)を取り入れ、バランス改善を行います。
活血によい食材としてさんまやいわしなどの青魚が挙げられます。れんこんやえんどう豆なども活血に使うことができます。
瘀血によって体の冷えが生じている場合はそれらの対策も同時に行います。
瘀血は時間が経つと体に不調を生じやすくなります。適度な休息と運動も瘀血対策で重要です。
ストレスをためずに健康的に過ごすことは、人間にもどうぶつにも重要となりますので、日頃の健康維持に中医学をお役立てください。
監修者:ますだ動物クリニック / 増田 国充 先生